凡例

【立項地名】

下記の研究成果を参照して立項地名を決め、その他の表記は異表記欄に収めました。
・『和名類聚抄郡郷里驛名考證』(池邊彌著、吉川弘文館、1981年)
・『日本歴史地名大系』(平凡社、1979-2004年)
・『古代地名大辞典』(角川書店、1999年)
なお、2018年3月のリニューアルの際にあたって、木簡に見える古代地名のデータを追加しました。
地名の表記について、UTF-8 の文字コードで表示できない文字は、解字形式(例:「草冠+補」)で表記しています。

立項地名に使われた記号は以下の通りです。

『和名類聚抄』に収録されていないが、『和名類聚抄郡郷里驛名考證』が他の古代の史料によって収録している地名のうち、2015年12月公開版に収録したデータ。
『和名類聚抄』に収録されていないが、『和名類聚抄郡郷里驛名考證』が他の古代の史料によって収録している地名のうち、2018年3月のリニューアルの際に、新たに追加した西暦1000年までのデータ(同書「古代郷名集成」第六表まで)。
『和名類聚抄』に収録されていないが、『和名類聚抄郡郷里驛名考證』が他の古代の史料によって収録している地名のうち、2018年3月のリニューアルの際に、新たに追加した西暦1000年以降のデータ(同書「古代郷名集成」第七表から)。
( )『和名類聚抄』(一部の写本の場合も含む)の誤記の可能性が考えられるもの。
立項した表記と代わる可能性を含む(どちらが誤記かにわかには判断できないなど)と考えられるもの。
[ ]木簡の欠損文字のうち、推定した文字を示す。
木簡の欠損文字のうち、判読不能の文字を示す。

【異表記】

異表記については、下記の事例を収録しています。
・『和名類聚抄郡郷里驛名考證』所収事例
・木簡データベース(2018年3月に「木簡庫」に統合)の「国郡郷里」欄データ
異表記に使用した記号については、上記立項地名の記号一覧をご参照ください。

【出典】

立項地名は『和名類聚抄』に従うのを原則としました。
『和名類聚抄郡郷里驛名考證』が他の古代の史料によって収録している地名には、上記表の如く「*」「△」のような記号を付けていますが、これらの地名の出典は、下記の通りです。
  郡名についてはこちら>>>
  郷名についてはこちら>>>
各異表記の出典は、異表記欄に〈 〉で囲って表示しています。出典が複数の場合は「/」で区切って表示しています。

・よく使われる古代史の文献資料については、以下の通り、略号を使用しています。

出典名出典の略号
延喜式
古事記
新撰姓氏録姓氏録
政事要略要略
先代旧事本紀旧事本紀
大安寺伽藍縁起并流記資財帳大資
東大寺要録要録
日本紀略紀略
日本三代実録三実
日本書紀
日本霊異記霊異記
日本文徳天皇実録文徳実録
扶桑略記
法隆寺伽藍縁起并流記資財帳法資
万葉集
類聚符宣抄符宣抄
類聚三代格三代格
令義解義解
令集解集解
今昔物語今昔
釈日本紀釈紀
続日本後紀続後紀
続日本紀続紀
『和名類聚抄』(伊勢本)伊本
『和名類聚抄』(高山寺本)高本
『和名類聚抄』(東急本)急本

・古文書については、正倉院文書の中でよく知られている戸籍・正税帳の場合、通称を使用しています(例;「御野戸籍」「駿河国正税帳」等)。
他のものについては、古文書の出典を略号で記しています。
例)大日古3-590:『大日本古文書』3巻590頁
  平遺236:『平安遺文』所収236号文書
  鎌遺236:『鎌倉遺文』所収236号文書
 ・金石文については、基本名称をそのまま引用していますが、「多胡碑」のように一般的に用いられる通称名で表記するものもあります。
 ・木簡については、調査主体が奈良文化財研究所のものについては基本〈木〉のみと記し、他機関が調査主体となる場合は、〈遺跡名+木〉の構成にて出典を表示しました。
例)大宰府跡出土木簡:〈大宰府木〉

【読み】

地名の読みは、『和名類聚抄』に読みが示されている場合は、原則としてこれに従い、下記の研究成果も参照して最も一般的と思われるもので表記しました。
読みが不明な地名については、可能性の最も高い読みを提示し、「?」をつけました。
・『和名類聚抄郡郷里驛名考證』(池邊彌著、吉川弘文館、1981年)
・『日本歴史地名大系』(平凡社、1979-2004年)
・『古代地名大辞典』(角川書店、1999年)
・『角川日本地名大辞典 CD-ROM版』(角川書店、2002年)

【異訓】

地名の読みは時代によって変化することがあり、必ずしも一義的に決められない場合もあります。
上記【読み】には採用されていないものの、その地名の読みになっているものを、「異訓」という形で収録しています。

【改編】

一部の古代地名には、併合・分割・改称などが行われ、立項地名とは並列できないものがあります(例:阿波国名方郡は896年に名東郡と名西郡に分割)。
これらのデータを改編データと称し、その詳細について記述しています。

【里(コザト)】

コザトとしての「里」は、「郷里制」、即ち郷(サト)と里(コザト)が上下関係で併存した時期(717-740)のもので、木簡を含む一部の史料にしか確認できない地名です。

【備考】

木簡に記載される地名のなかで、所属国はわかるものの、所属郡あるいは所属郷がわからないものについては、備考欄で表示しています。
例)須佐里(知多郡,所属郷不明)
 出典は「城31-24上(318)」で、表面に「尾張国知多郡□□郷」、裏面に「須佐里□□〔舟比ヵ〕部小宮大□」と記載される木簡。所属郷が判読できない。